「“宮古島で暮らす”——その決断が、すべてを変えた」
—— 恐れを超えて選んだ環境が、人生を広げていった
環境を変えるという選択は、時に人生を大きく動かします。
けれど、それは決して簡単なことではありません。
見知らぬ土地で暮らすという決断には、恐怖や迷いが伴うものです。
naoさんがその一歩を踏み出したのは、20代前半の頃。
「ふと、宮古島に住もうと思ったんです。本当に、突然浮かんだんです」
そう振り返るnaoさんですが、その決断の背景には、長く続いた生きづらさがありました。
幼い頃から繊細で、人目を気にしすぎ、考えすぎてしまう性格。
やがて、鬱病と摂食障害を抱え、「何もかも嫌だ」と思うまでに追い詰められたといいます。
「とにかく、今の環境から離れたい。それだけでした」
その想いに背中を押され、naoさんは宮古島での暮らしを選びました。
知り合いは一人もいない。
心身ともに不安定なまま始まった新しい生活。
それでも、そこで待っていたのは、想像を超える発見と喜びでした。
「自分の描いた絵が、お金になることを知ったんです。
そして、出来たてのサーターアンダギーの美味しさに、衝撃を受けました」
やがて彼女は、その味を再現しようと決意します。
「納得のいくレシピを作るために、試作を88回。
でも、友人とそのお母さんがいてくれたおかげで、諦めずにやり切れました」
宮古島での出会いは、食や文化だけではありません。
価値観を揺さぶる、大切な言葉との出会いもありました。
「しげちゃんという友人が、会うたびに“友達をたくさん作れよ”って言ってくれたんです。
当時は、その意味が分からなかったけど、今なら分かります。
人は、可能性なんですよね。一人じゃなく、誰かとつながることで、人生は豊かになるって」
あの時の決断は、決して無謀ではありませんでした。
むしろ、その一歩が、今のnaoさんを形づくる大きな原動力になったのです。
「“整える時間”が、作品とサービスの質を決める」
—— 心地よい自分でいることが、期待を超える第一歩
「まず、自分自身の心と身体の状態を整えること」
そう語るnaoさんが大切にしているのは、最高のパフォーマンスは“無理をしない自分”から生まれるという考え方です。
アートでも、サーターアンダギーでも、
どちらも“手で生み出すもの”。
その原点にあるのは、作者である自分自身。
だからこそ、過度に気を張らず、健やかでリラックスした状態を意識しているといいます。
「そうすると、ひらめきやタイミングなど、
まるで贈り物のような出来事が自然とやってくるんです」
実際、オーダーメイドアートでは、制作の途中で浮かんだ言葉を添えて届けることがあります。
「そのメッセージに“心が軽くなった”と喜んでいただいたり、
“誕生日ぴったりに作品が届いて驚いた”とお声をいただくこともあって、私自身も一緒にうれしくなります」
その偶然は、整えられた心と手から生まれる必然なのかもしれません。
一方で、サーターアンダギーには、別の形のこだわりがあります。
「どんな素材を選び、なぜこの組み合わせにしたのか。
その背景を知っていただけるよう、手描きのチラシを作りました。
味だけでなく、想いやストーリーまで届けられたら、もっと楽しんでいただけるかなと思って」
“おいしい”の一歩先にある、安心感やあたたかさ。
それをどうすれば伝えられるかを考え、形にする。
そんな誠実な工夫が、naoさんのサービスを支えています。
「“手に取った瞬間”から始まる、もうひとつの物語」
—— 見えない想いを、かたちに変える工夫
お客様が作品や商品を手にするその瞬間。
そこで感じる温度や、ふと心に灯るやさしい驚きは、時に“満足度”を大きく左右します。
だからこそ、naoさんは「仕上げの一手間」に心を込めています。
「アートを郵送する時には、手書きのメッセージを添えることがあります。
サーターアンダギーを販売した際には、小さな沖縄のお守りを一緒に添えました。
特別なことではなくても、封を開けた時に“わぁ”と感じてもらえたら、うれしいなと思うんです」
その想いは、デザインの工夫にも表れています。
「サーターアンダギーに関しては、“このお菓子を誰と食べてほしいか”を考えました。
もし私だったら、まずは自分へのご褒美にひとつ。
そして、本当においしかったら、大切な人にあげたくなると思ったんです。
だから、カラフルで可愛いラベルシールを作って、
“贈りたくなる気持ち”を形にしてみました」
naoさんが大切にしているのは、見えないものへの配慮です。
「適当に仕上げたか、感謝の気持ちで仕上げたかは、きっと相手に伝わると思っています。
本格的な霊感や透視の力なんてなくても、人は“何かを感じ取る”力を持っているから」
だからこそ、最後の最後まで、丁寧に責任を持つこと。
それが、naoさんにとって“当たり前の約束”であり、
同時に、満足度を生む最大の秘訣でもあるのでしょう。
「私は元々、お手紙を書くのが好きなんです。
だから楽しんでやっている延長ではありますが、
これからも“もっと喜んでいただける工夫”を見つけていきたいと思っています」
―― 封を開けた瞬間に感じるあたたかさ。
そこに込められているのは、技術やデザインを超えた、
“あなたを大切に思う”という、静かなメッセージなのかもしれません。
「“胸の奥がふっと温かくなる絵だね”」
—— 言葉の奥にある、“本当の価値”
絵を見た瞬間に、涙があふれそうになる。
そんな体験をしたことがありますか?
naoさんのもとには、こんな声が届いています。
「絵を見てこんなにも心が温かく、穏やかになったのは初めて」
「一目見て、温かみと宇宙につながるエネルギーを感じ、心奪われました」
さらに、届いた作品を手にした方が、こう伝えてくれたこともあります。
「なんだか、すっごく胸があったか〜くなる絵だね〜!」
naoさんが掲げるテーマは、
「見ると体温が上がる絵、心ときめく絵」。
そして、そのコンセプトは、「自分への帰還」です。
ただ飾るための絵ではない。
その方が本来の自分に戻れる空間をつくること。
届いた言葉の一つひとつが、その使命を証明しています。
「見るたびに、自分に必要なマインドセットが整う心地です」
そんな感想に出会うたび、naoさんは思うのです。
“アートは、日常にぬくもりを取り戻す小さな灯りになれる”と。
88回の試作が生んだ“軽やかなおいしさ”
もう一つ、忘れられない声があります。
それは、サーターアンダギーを召し上がった方々からの言葉。
「普段甘いお菓子を食べない子どもさんが、ぺろっと食べて“おかわり”と言っていたよ」
「サーターアンダギーは気体かと思うぐらい、一瞬で食べちゃったよ」
「食べた瞬間、沖縄に瞬間移動したのかと思った」
油で揚げるお菓子にありがちな“重さ”をなくすために、
油の使い方や揚げ方を何度も試し、
たどり着いたのは、88回目の試作。
その努力の先に生まれたのは、
“軽やかで、優しい味わい”でした。
そして、届く言葉の中には、
「サーターアンダギーから、温かい気持ちや、ほっとする気持ちを感じた」
という一文もありました。
まさに、naoさんが掲げる目標
『美味しくて、優しくて、ほっとする時間のご提供』が
そのまま形になった瞬間です。
naoさんが届けているもの、それは“感情”
胸があたたかくなる絵。
一瞬でなくなるお菓子。
その共通点は、
「感情が動く瞬間」を生み出すことです。
アートも、スイーツも、単なる商品ではありません。
それは、慌ただしい日常にそっと差し込む、
“あなたを大切にする”というぬくもりの証。
そして、その想いこそが、naoさんの創造の源なのです。
「燃え尽きた筆と、88回の挑戦」
—— 自分を取り戻すまでに歩いた、長い道のり
成果の裏には、静かな葛藤があります。
naoさんにとって最も大変だったのは、“自分の本当の得意”を見つけるまでの時間でした。
「やっぱり、大きな絵のほうが好まれるんじゃないか」
そう考え、無理に“自分らしさ”を曲げて描き続けた結果、待っていたのは——
燃え尽き症候群。
「しばらく、絵を描けなくなってしまったんです」
その言葉には、あの日の苦しさがにじんでいました。
この経験を通じて浮かび上がったのは、ただひとつの本質でした。
“自分の力が最も発揮できるやり方を、大切にする”こと。
LLサイズほどの小さなキャンバスにこそ、
彼女の感性とエネルギーが凝縮されるのです。
今は、その気づきを大切に、さらなる表現の可能性を広げておられます。
もう一つの挑戦——「88回目のサーターアンダギー」
そしてもう一つ、彼女が語ってくれたのは、
サーターアンダギー誕生までの奮闘です。
「約2ヶ月間、朝から晩まで、ほぼサーターアンダギーを食べていました」
その一言からも、過酷さが伝わってきます。
理想の食感と軽さを追求するため、
揚げ方、油の温度、食材の組み合わせ——
何度も試作を繰り返した日々。
その数、88回。
「失敗作も材料にはこだわっていたので、結局ほとんど食べちゃって。
胃がキリキリする頃、ようやく理想の味に辿り着きました」
笑いながら語る彼女の表情には、
乗り越えた人だけが持つ誇りと清々しさが宿っていました。
軸を取り戻し、未来を描く
燃え尽きた絵筆も、88回の試作も、
すべては「本物を届けたい」という一心で続けた証。
その過程を経て浮かび上がったのは、
“自分の強みを信じ、その世界を深めていくこと”という確かな指針でした。
今、naoさんはその気づきを胸に、
さらなる表現の可能性を広げながら、
アートとサーターアンダギー、
そのどちらにも“温もりと光”を込めて届け続けています。
抽象画アーティスト Mermaid naoさん
▷▷▷Mermaid naoさんの活動の様子や最新の発信は、Official Blogよりご覧いただけます。